「ハドソン川の奇跡」

「ハドソン川の奇跡」2016年

監督:クリント・イーストウッド

出演:トム・ハンクス、アーロン・エッカート


いや〜予想した以上に良い映画だった。結末が分かっているだけに退屈するのではという不安がよぎるが、そこはクリント・イーストウッド監督、毎度のことながらの手腕に唸らされ、そしてこちらも毎度のことながらトム・ハンクスの存在感、演技力に圧倒される。


話は実話。そういえば数年前、旅客機が川に着水して大勢の乗客が翼の上に立っている写真を見たなぁ...というおぼろげな記憶はあったが、それがハドソン川だったということすら覚えていなかった。


2009年だからわずかに7年前、そして記憶に新しい2001.9.11同時多発テロの8年後。

ニューヨークのラガーディア空港を飛び立った旅客機がバードストライクに合い、両エンジンの動力を失ってしまう。機長であるサレンバーガー(トム・ハンクス)と副機長(アーロン・エッカート)は冷静に対処、状況の把握、管制塔とのやりとりを経た後、ハドソン川へ着水するという独自の決断をする。その間わずかに208秒。

危険極まりない着水を無事成功させ、沿岸警備隊やフェリー、警察の協力によって乗員乗客155名全員が生還するという奇跡と言える離れわざをやってのけたサレンバーガー機長は一躍時の人、英雄として讃えられる。

しかし、国家運輸安全委員会の調べがはじまり、英雄であるはずの機長は容疑者同然の追求を受けていくこととなる。乗客を危険にさらすことなく他の空港に着陸できたのではというのが委員会の見方であり、コンピューターやシュミレーターによる検証でそれらを実証しようとしている。


着水シーンをあえて中盤と終盤に持ってくる時系列の組み立て。そして感動物語としてのあざとさを一切排除した抑えた演出。トラブル発生からの管制官とのやりとり、着水、脱出、救助までの息詰まる緊張感とリアリティ。主人公の心の葛藤ももちろんだが、副機長との信頼や、家族との関係、乗客、救助する人たち、それらあますことなく96分というコンパクトな時間に収めるという潔さ。


人工知能の開発が加速する昨今、機長の人的要因が大勢の命を救った。機長の決断がなくだたマニュアルにしたがっていれば、ニューヨークの街中に墜落し、同時多発テロの再現ともなりかねなかった事故。


ただ映画として描き方によっては駄作にも良作にも成り得る素材だと思う。そこを見応えのあるヒューマンドラマに仕上げたのはやはりクリント・イーストウッドの力量でしょうねぇ。


タイトル。邦題はこれはこれでいいと思うけど、原題は「SULLY」。これがまたいい。

満足度★★★★☆(4.5)

Kawamoto Sunrise

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