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2016年公開映画ベストテン

★2016年公開映画のベストテン★2016年は豊作でしたね。自分のセンサーにビビッとシンクロした10作品はこちらです。第1位 「この世界の片隅に」素晴らしい原作と丹念なリサーチが形作る丁寧な描写は、観るものを映画の中へと導き、それがアニメであることも忘れさせるほど。特にのんちゃん演じる主人公すずちゃんの存在感を間近で感じ、寄り添わずにはいられません。第2位 「すれ違いのダイアリーズ」タイ発のラブ・ストーリーは「君の名は。」と重なる点も。後半は多少強引ではありますが、それを差し引いて余りあるほどの構成の上手さ、見せ方の上手さに引き込まれました。そして子供たちの可愛さ&魅力あふれるヒロインと素晴らしいロケーションも見どころ。監督さんのセンスが素晴らしい。第3位 「ヒメアノ~ル」どんなホラーやスプラッターよりも生々しくエグいので人にはおすすめできません!!でも、昨年の邦画では抜群のクオリティ。あるシーンは鳥肌モノだし、ラストシーンは不覚にも涙が・・・脚本・演出と構成、キャスティング、そして森田剛の怪演。様々なピースがピシャリとハマった傑作。これから観る方は、絶対に体調のいい時に。 R15。第4位 「怒り」そうそうたる役者さんが揃い、繰り広げる骨太の群像劇&ミステリー。ある殺人事件をきっかけにゆらぎはじめる人々の気持ちに観る側も心震えます。何から何まで洗練されていて邦画の最高峰だと思います。坂本龍一の音楽も非常に印象的。第5位 「ハドソン川の奇跡」エンジントラブルからハドソン川への着水を判断した機長は乗客乗員155名全員の命を助け、英雄のはずの彼は容疑者として扱われ・・・その数分間が徐々に徐々にあきらかになっていくその構成が見事。実際に起きた事件で結末も分かっていることをこうも面白く感動的に描けるイーストウッド監督、脚本家をはじめとした関係者に拍手です。第6位 「日本で一番悪い奴ら」度々報道される警察組織の不祥事も税関までグルになってまさかここまでの事が実話とはビックリ!しかし綾野剛はキレキレだし、笑い所も多く映画としてかなり面白かったです。第7位 「レヴェナント:蘇えりし者」西部開拓時代、雪山を舞台にした壮絶な復讐劇。オスカーを手にしたレオナルド・ディカプリオの鬼気迫る演技もすごいですが、何よりも映像が圧倒的に美しいです。そして「ゼロ・グラビティ」「バードマン」を超える、どう撮ったか想像もつかない驚愕のシーンの数々。第8位 「キャロル」50年代のニューヨーク、今よりもずっと保守的な時代の女性同士のピュアな恋愛ストーリー。ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラのルックスはもちろん表情、所作、そして風景、衣装、美術までも一体となって染み入るように美しい。余韻もいいです。第9位 「ボーダーライン」観る側は主人公と共にアメリカとメキシコの国境地域での麻薬戦争の真っ只中である無法地帯に放り込まれ、その現実の姿を目の当たりにし閉口します。映画自体はフィクションとは言え、この法の及ばない裏の世界が実際に存在することが何より恐ろしい。R15。第10位 「ズートピア」あらゆる動物が文化的な暮らしを営むズートピアを舞台に、差別や偏見など様々な問題を内包しながらもキャラクターの圧倒的な表現力とバツグンのセンスで見せるエンターテイメント。日本でも3Dアニメは作られているものの、ハリウッドにおける表現とは実写CG以上に差を感じてしまいます。ベストテン入りしなかったものの、こちらも好きです!!「ルーム」「ちょき」「永い言い訳」「シン・ゴジラ」「ブルックリン」「ブリッジ・オブ・スパイ」「五日物語」「人間の値打ち」ちなみに、上位にくる可能性が高い「トランボ」「シング・ストリート」「淵に立つ」「聲の形」「手紙は憶えている」を見逃してしまった大ばかものです。(T_T)

「ローグ・ワン / スター・ウォーズ・ストーリー」

「ローグ・ワン / スター・ウォーズ・ストーリー」監督:ギャレス・エドワーズ出演:フェリシティ・ジョーンズまず最初に、レイア姫役のキャリー・フィッシャーさんの突然の訃報に言葉もありません。謹んでお悔やみを申し上げます。スピンオフとは言え、今年一番の話題作と言ってもいい大作。しばらくは毎年スター・ウォーズが観られるって素晴らしいですね。今回のスピンオフはズバリ、エピソード4のオープニングでの字幕「反乱軍のスパイは帝国軍の究極兵器の設計図を盗み出すことに成功」を映画化したものとなります。ローグ・ワンのメンバーがエピソード4以降に登場しないとことから分かるように、登場人物全員がその身を犠牲にして、デススターの設計図をまるでたすきをつなぐように最終的にレイア姫に託すというその悲劇的かつ絶望的でドラマティックな物語。ハリウッド版「GODZILLA」のギャレス・エドワーズ監督作品です。で、実際みんなの期待に応えるように終盤、ローグ・ワンのメンバーが一人また一人と息絶えていくシーン、おなじみのメカやキャラの登場、また大迫力の宇宙空間での戦闘シーンなど見どころ満載。特にダース・ベイダーが反乱軍を追い詰めライト・セーバーを抜くシーンと驚きのラストシーンはテンションもMAX。スター・ウォーズファンならば嫌でも熱くなる展開ではありますが、冷静に単純に1本の映画として観た場合はどうでしょう?・・・もうちょっと面白くできた気がするのですが・・・旧シリーズ(4.5.6)はとにかく面白かったですが、どこに違いがあるか考えてみると旧シリーズはとにかくキャラクターが魅力的。精神的に未熟な主人公ルークがフォースに目覚めて精神的にも成長していく物語を軸に、無法者の運び屋ハン・ソロ、おてんばでプライドが高いレイア姫、さらにはC3PO、R2D2、チューバッカ、カルリシアン、ジャバ・ザ・ハット、ヨーダ、そしてダース・ベイダーと皇帝。そしてSFとしての面白さ。その点でバツグンなのは、やはりエピソード5「帝国の逆襲」ですね。帝国軍の無人偵察ポッド。氷の惑星に現れる帝国軍の兵器(AT-AT)のカッコよさ。そしてAT-ATと反乱軍スノースピーダーの戦い。沼の惑星に1人で暮らしているヨーダ。小惑星群に飛び込み帝国の追撃を逃れるミレニアム・ファルコン。巨大な生物の体の中で小休止するミレニアム・ファルコン。スター・デストロイヤーの宇宙ゴミにまぎれて脱出するミレニアム・ファルコン。賞金稼ぎのボバ・フェット。ランド・カルリシアン伯爵の空中都市。その空中都市でのルークとダース・ベイダーの死闘。などなどのSFとしてこれでもかのアイデアとエッセンスに魅力ある登場人物たちのドラマがかぶさる。ハン・ソロとレイア姫の名セリフもありますね。比べて今作のローグ・ワン。なんともキャラクター描写が弱い。盲目の戦士だけは表面的な特徴はありますが、どうも各キャラクターの人間味が・・・各キャラクターの掘り下げがない分、どうも感情移入もしにくいかなという印象。そしてSF的な面白さ。これが決定的に無かったのがとても残念。確かに見せ場はありました。が、それは見せ方のバリエーションだけに感じます。ワクワクするようなアイデアが無いのですね〜。地上での戦闘は実際の戦争を想像させるようなリアルテイスト。その割に危機一髪のところで横から誰かが救うというマンガ的シチュエーションが一度ならず何度も。そんな演出のチグハグさも気になりました。辛口になってしまいましたが、次のエピソード8ももちろん観ますよ。そしてハン・ソロの若い頃を描くスピンオフも楽しみです。スター・ウォーズの世界観をキープしながらもSF的にワクワクさせる奇想天外な演出、難しいと思いますが、そんなスター・ウォーズを期待しています。満足度★★★☆☆(2.5)

「ちょき」

「ちょき」監督:金井純一出演:増田璃子、吉沢悠極めてシンプルなラブストーリーです。舞台は和歌山、5年前に妻を亡くした美容師の直人(吉沢悠)のもとに、妻が生前習字を教えていてとても可愛がっていた高校生のサキ(増田璃子)から1本の電話が入る。子供の頃、母親のDVにより失明し盲学校の寮に入っているサキを、直人は髪を切るだけでなく、連れ添って出かけるようになる。そんな2人の周りで噂がたちはじめ・・・というストーリー。第一に説明的なセリフをほとんど排除して丁寧に描写するとても映画らしい映画だと思う。目の見えないサキが音や空気、感触を頼りに想像を膨らませていくのと同じように、観ている方も感性を研ぎすませて登場人物の心情を汲み取っていく。そんな感覚がありました。サキが写真を撮るシーンがとても印象的。そして主人公2人の演技、距離感がとてもいい。直人の少々気が利かず鈍感ながらも実直な感じと、サキの繊細だけどいい子すぎないごく普通の感じが、それはそれは自然で物語に引き込んでくれる。こうゆう自然な空気感を持った映画は観ていてとても愛おしくなります。増田璃子さんは今後楽しみな女優さんですね。そしてラストの2人のやりとりにぐっときました。ロケ地となった和歌山の情緒あるじゃんじゃん横丁、高台に位置する神社からの壮観な風景も良かった。余計なエピソードを含めずコンパクトな時間にまとめた所もGood。キレイすぎると言う人がいてもおかしくないですが、自分はありそうでなかなかないピュアな物語に心洗われました。満足度★★★★☆(4.5)

「五日物語 3つの王国と3人の女」

「五日物語 3つの王国と3人の女」監督:マッテオ・ガローネ出演:サルマ・ハエック、ヴァンサン・カッセル ほかイタリア・フランス合作なかなか面白かった。簡単に言うとファンタジーと言うよりおとぎ話。イタリアで400年前に書かれたものらしく「シンデレラ」や「白雪姫」の原型となった物語を含み、またグリム兄弟にも影響を与えたという50話からなる「パンタメローネ(五日物語)」から選んだ3つのストーリーをオムニバスとして構成。400年たっても変わらぬ女の性(さが)を描く3編。映画のキャッチコピーである「ママが絶対に読んでくれなかった物語」で想像つく通り、後味が悪く毒がたっぷりなダークな作品。ハリーポッターのようなエンタメ性は皆無で、間違いなく好き嫌いが分かれるこの映画。私は大好き。サブタイトルに「3つの王国と3人の女」とあるが、厳密には3つの王国と4人の女の話かな…。1人目は王国の女王。不妊に悩む女王は、魔法使いに救いを請うたところ「海獣の心臓を食べよ」との教えを守り、男の子を懐妊するが、思春期をむかえた我が子への依存が断ち切れずにいた。2人目は、別の王国の王女。外の世界を知らない王女は、外の世界に出たいため結婚を熱望し、やがてその望みは叶うのだがその相手は…3・4人目は、城下町でひっそりと暮らす老姉妹。ある時、歌が上手い姉の歌声に王が惚れ、求婚するのだが…いずれも己の欲望を追い求めた末に代償を払うこととなる。映像は美しいのに、全体に漂う空気感はハリウッド性のそれとは全く異なっていて、妙に生々しいと言ったらいいだろうか…何でも世界遺産である古城などで撮影されたらしい。なるほど、CGやセットなど極力使ってないその生の空気なのだろう。逆にちょっと残念と思える部分もいくつか...多数登場するクリーチャーのシーンと少しだけあるアクションシーン。予算の関係でリアリティとダイナミズムが不足した感が。あと、舞台はおおかた王宮内だが、それだけに城下町での民衆の様子がもっと感じられるカットがあるとリアリティが増してよかったな。贅沢だけど。とはいえ、美しい映像と独特な(異様な)空気感が見応えたっぷりな映画。満足度★★★★☆(4.0)